『めぐ記』の掲載は、昨年9月以来1年ぶりとなりました。この間、地方銀行本店のハシゴを行ったりし、文章関係では戯曲の執筆に挑戦するなど、新境地を模索し続けておりましたが、体験記の執筆はさぼってしまいました。来年には脚本デビュー作の公演が行われる予定です。いずれ告知したいと思いますので、ご来場いただければ幸いに存じます(公演が頓挫した場合はご容赦下さい)。
2008年の「県民の日めぐ」では、東武伊勢崎線の沿線を選びました。過去の『めぐ記』掲載分と合わせますと、東武伊勢崎線(支線含む)沿線にある埼玉りそな銀行のほぼ全ての店について、記述を終えたことになります。
この日は、同じ東武鉄道の東上線とどちらにするか最後まで迷ったのですが、「平和の象徴」ともいえる銀行めぐとしては、伊勢崎線を選んで正解だったと思います。東上線ではこの日、みずほ台駅近くで起きた踏切事故の影響で、午前中ほぼ全線で運転見合わせとなりました。もし私が東上線を選んでいたら、確実にどこかで足止めを食らっていたハズですが、それを文章化した場合、『めぐ記』としては失敗だったと思います。旅行の体験記としては波乱に富んだものになったかもしれませんが、『めぐ記』は銀行営業店とその町の様子を伝えるのが主旨だからです。本文にも記述がありますが、この日は伊勢崎線でもアクシデントがあってダイヤが乱れました。私が経験したのは20分ほどの軽微な遅れでしたが、この程度の遅れであってもそれなりのダメージは受けます。ましてや半日も動きが取れなくなったら…。
連載中の11月下旬〜12月初旬、日本経済新聞の夕刊に、俳人・黛まどかさんへのインタビューが連載されました(「人間発見」)。記事中に、印象に残った記述がありました。地域おこしの題材として俳句を取り上げている地方自治体が複数あり、そのうちの一つを訪ねたところ、現地の人が話したそうです。俳句を見る目を通したら、何にもないと思っていた自分たちの町が宝の山だと気がついた、と。黛さんはこれを受けて「ピンときました。よそ者の目を持ち込むと、土地の魅力が再発見できるんだ」と結んでいます。
我が意を得たりと思いました。「めぐ」でハシゴをした地域にとって、私はよそ者以外の何者でもありません。しかし、私の『めぐ記』によって、めぐをした地域(そしてその地域の銀行営業店)の新たな魅力が発見できるとしたら、それは大きな喜びです。はたして『めぐ記』はそのような作品たりえているだろうか。その判断は私にはできませんが、方向性としてはそうありたいと思います。
もっとも、本多勝一氏に言わせると、こういう視線は「侵略する側」の視線ということになるのかもしれませんが…。私は、肯定的にとらえることにします。
この連載は、あくまで2008年11月の実体験と、その後の連載期間における「一面の真実」です。連載を終えて、「めぐ」の実行から3年という時間の経過は、想像以上に長いものだと感じました。今回、いったん着手したものを未完成に終わらせたくなくて仕上げたのですが、あまりに時間が経ったものは、やはり考え直した方がよいのかもしれません。情報は生ものによく似ていて、時間が経つと傷んでくるものです。今回そのことを身にしみて感じました。「仕掛かり中」のストックはまだ2本あるのですが…。
とりあえず次回の連載は、あまり時間の経過していない題材にしたいと思います。とはいえ、次回発表しようとしている「めぐ」は11月中旬に実施しましたが、それから1か月以上経つのにデータ整理すらいまだ終わっていない状況です。先が思いやられるのは間違いありませんが、次回もお楽しみに。
本連載、また私のやっている「めぐ」活動に関して、ご意見や情報提供をお待ちしています。このブログ「MEGU」は、コメント・トラックバックを歓迎していますし、私のメールアドレスも公表しています。
最後に一言。2011年もあと2時間ほどで終わろうとしています。本「あとがき」がそのまま、2011年を送るにあたっての私からのご挨拶となりました。来年も、当「遊牧民の窓」と為栗裕雅をよろしくお願い申し上げます。
よいお年をお迎え下さい。
なお、この連載の執筆にあたっては、以下のような書籍・webサイト等を参照いたしました。
参考文献一覧
紙媒体は発行年順、webサイトは本文掲載順(2011.12.15現在)
『創業二拾年史』飯能銀行、1921年『忍商業銀行四十年史』松岡敬太郎(忍町)、1936年
『昭和拾四年上期営業報告書』安田貯蓄銀行、1939年
『埼玉銀行十周年史』埼玉銀行、1953年
『埼玉県市町村合併史』埼玉県、1960〜1962年
『日本相互銀行史』日本相互銀行、1967年
『埼玉銀行史』埼玉銀行、1968年
『日本住宅公団20年史』日本住宅公団、1975年
『目で見る荒川区50年のあゆみ』東京都荒川区、1982年
『富士銀行百年史』富士銀行、1982年
『武州銀行史』埼玉銀行、1988年
『前川国男作品集 建築の方法T』美術出版社、1990年
『住居表示旧新/新旧対照表 鷲宮一丁目〜鷲宮三丁目』鷲宮町役場(埼玉県)、1992年
『埼玉銀行通史』あさひ銀行、1993年
『協和銀行通史』あさひ銀行、1996年
『周五郎が愛した「青べかの町」』浦安市教育委員会、1998年
建築三酔人『東京現代建築ほめ殺し』新潮OH!文庫、2001年
『富士銀行史1981-2000』富士銀行、2002年
『生誕100年 前川国男建築展 図録』生誕100年前川国男建築展実行委員会、2005年
美水かがみ『らき☆すた』1〜8巻 角川書店、2005〜2010年
コンプティーク編『らき☆すた公式ガイドブック』角川書店、2007年
高田京子「足元を知る」『マンスリーとーぶ』715号 東武鉄道、2008年
『さくら呉服橋ビル(旧・日本相互銀行本店)の記録』前川建築設計事務所、2009年
『ブルーマップ 加須市』民事法情報センター、2009年
『ブルーマップ 草加市』民事法情報センター、2010年
『銀行総覧』 大蔵省銀行局、各年版
『全国銀行店舗一覧』全国銀行協会連合会
『日本金融名鑑』 日本金融通信社、各年版
『ニッキン』 日本金融通信社
「埼玉交通情報」http://www.knet.ne.jp/~ats/index.htm
「こよみの計算」『国立天文台』http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/koyomix/koyomix.html
「銀行変遷史データベース」『全国銀行協会』http://www.zenginkyo.or.jp/library/hensen/index.html
「ちょっと懐かしい北越谷駅周辺」『弥十郎のはなし』http://www.geocities.jp/a1115b/sub60.htm
「牛島の藤」『藤花園』http://www.ushijimanofuji.co.jp/
「文化財紹介 東玉大正館(旧中井銀行岩槻支店)」『さいたま市』http://www.city.saitama.jp/www/contents/1198114204466/index.html
「『らき☆すた』の聖地、鷲宮神社で初詣をしてきた」『Business Media 誠』http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1001/01/news005.html
「鷲宮神社100拝目」『もてぎの鷲宮神社参拝記。』http://motegionityan.blog72.fc2.com/blog-entry-32.html
「加須市」http://www.city.kazo.lg.jp/index.htm
「企業ロゴの歴史(4)東芝標章の変遷」『電気技術史』41号 (社)電気学会、2006年 http://www2.iee.or.jp/~fms/tech_a/ahee/newsletters/pdf/n41.pdf
フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8






