2017年05月03日

2014.07.18(金)(29)今尾から野寺に向かう

 それでは、次なる目的地の野寺に向かおう。ここから野寺支店まで5.08km、21分かかることになっている。
 予定では今尾支店11:17出発で、いまの時刻が11:18だから、ほぼ予定どおり。というか、高須支店を出る時に30分の余裕時間を稼いでいたのに、道を間違えて遠回りしたせいで、全部吐き出してしまったのである。野寺に向かう道のうち、半分ぐらいはいま来た道の戻りであって、それを思うだけで疲労感がかなり増した。
 むなしい行程が続く。〔お千代保稲荷〕のバス停まで戻ってきたところで、どこからともなくウエストミンスターの鐘が鳴り始めた。時計を見るとちょうど11:30であった。さっき小学生の集団下校を見たけれども、今度は中学生の自転車の集団下校に遭遇した。

 今尾から野寺までの中間地点、蛇池の交差点まで戻ってきた。ここから先が、今日まだ一度も通っていない道になる。
 蛇池の四つ角を境に、田園地帯の風景は変わらないものの、道路の様子が若干変わった。今まで黄色のセンターラインだったが、ここから先は白の破線になった。道路のセンターラインは、白の破線は追い越し可、黄色の実線は不可ということになっているが、対面2車線の道路でこの区分は意味があるのかなと思う。私は結構気が短い方だが、それでもこうした道で先行車を追い抜くなど、恐ろしくてとてもできない。追い越しが認められていようといまいと、対向車が来たら一巻の終わりではないか。
 農業機械のディーラーがあった。扱っている商品は、乗って耕すタイプのトラクターなど、大型のものが多いようだ。このあたりの農業はコーンベルトなどアメリカの粗放的な農業にかなり近い形態で、巨大な農業機械に相応しく耕地面積も広い。ディーラーの看板は、逆三角形を3つ組み合わせた原子力マークのようなシンボルマークが付いていて、MASSEY FERGUSONと書いてある。マッセイ・ファーガソンというのは世界的な農耕用トラクターのブランドらしいが、これまでに聞いたことはなかった。販社もエム・エス・ケー農業機械という聞いたことのない会社だが、北海道恵庭市に本社のある三菱商事の完全子会社で、全国展開している。ここは羽島営業所といい、岐阜県唯一の拠点だそうだ。
 その農機ディーラーの隣に、紫色のアメ車がボンネットの先だけ出しているガレージがある。アメ車のラジエータグリルは金色であった。ガレージはトタン波板を張った2台分の箱で、前面が高くて後部が低くなった台形。ボンネットは車体の大きなアメ車だから本当にはみ出しているのだろうが、もし違う種類の車ならわざとらしいと思っただろう。アメ車の横には、ボディマウントのような形にした軽トラックもあって、結構な自動車好きが住んでいるようだ。軽トラでもボディマウントにすればシャコタンに見えるのだが、車を趣味とする人たちがどうしてそんなに車高を下げたがるのか、私には不思議でならない。踏切をジグザグ走行しなくてはならないなど不便なだけだと思うのだが、考えてみれば私も使いもしない銀行口座をたくさん持っているから、それと同じだと思い直した。
 この道の歩道は、まず縁石を縦に並べ、その横にU字溝で水路を作ってコンクリートの蓋をかぶせてある。溝の両側はアスファルトで舗装しているのだが、舗装とU字溝との間のごくわずかなすき間は、セイタカアワダチソウがびっしり生えて並木のようになっている。自転車を漕いでいるとパタパタパタパタ足に当たって、何とも邪魔。わざわざこんな狭いところに生えなくてもと思うが、まあ雑草の生命力はたくましいものである。「雑草」という名の植物は存在しない、と昭和天皇にたしなめられそうだが。

 左に分かれるy分岐があって、羽島12kmという矢印看板が出ている。センターラインを引いていない道が左に分かれていくが、ここを走っていくと野寺に多少近いかもしれない。後で知ったが、この道は野寺を通って岐阜羽島駅へ行く海津市コミバスの経路であった。私は直進する。その先には、卵の直売という幟を出した養鶏業者があった。さっき鶏卵の自動販売機を見たけれども、岐阜県のこのあたりは養鶏が盛んなのだろうか。さらに行くと、川が流れていない橋がある。遊歩道になっているということは、多分川を埋めたのだろう。かつてこのあたりは網の目のように川が流れていたが、江戸時代に始まる治水工事でだいぶ少なくなったようだ。
 蛇池のあたりには、大駐車場完備で建物もかなり大きな個人経営のレストランがところどころに複数あって、ランチタイムには車で賑わっているところが多かった。お千代保稲荷の参拝客は、お参りの前か後に近所のこうした店で食事する段取りのようだ。お千代保さんから離れるにつれて経営の芳しくない店が増えてきたようで、野寺にだいぶ近付いたこのあたりは至るところで飲食店の空き店舗が目に付く。

 前方に堤防が見えてきた。あそこまで行き着くと長良川である。野寺は川の手前だから、どこかで左に曲がるハズだ。はたして、この県道は長良川の堤防にいよいよ近づいたところで左にそれている。白の破線センターラインは、左カーブの手前で黄色の実線に変わった。道と堤防の間は森のようになっている。この道の東側は、羽島市の飛び地で桑原町西小薮という。飛び地という言い方は不正確で、長良川の向こう側にある“本土”と領域はつながっているのだが、川を挟んで事実上飛び地になっているのである。かつての川の流れがここであったことの名残で、大改造された大河川の沿岸にはよくある。
 者結という珍しい地名があった。ものゆいとでも読むのかと思ったが、後で調べてみると「じゃけつ」という。さっき蛇池という地名があったけれども、者結の「者」ももともとは「蛇」で、このあたりの「ジャ」のつく地名はすべて、蛇を神とあがめて信仰するものであるそうだ。
 私がこの者結という地名を知って真っ先に思い浮かべたのは、中川李枝子作の児童文学の傑作『いやいやえん』であった。福音館書店刊の赤い表紙の本には、7篇のお話が収録されているが、そのうちの5番目「おおかみ」に、衣装として「じゃけつ」が出てくる。要はジャケットのことなのだが、本の初版が刊行された1962年頃の外来語の表記が垣間見られて興味深い。別の例を挙げると、私は1968年生まれだが、幼稚園時代に「ビールス」という言葉が普通に使われていたことを思い出す。ウイルスのことであるが、virusというラテン語をどう発音するかによって表記が違ったわけである。それはともかく、「おおかみ」というお話は、《森のおおかみが、はらっぱへさんぽにきました。/おおかみは、このあたたかいのに、赤いけいとのじゃけつをきています。/はらっぱには、だれもいません。ちょうちょうが、白い花のあいだをとんでいるだけです。/かぜがふくと、くさは、こっそりとねむくなるにおいをまきます。/おおかみは、いいきもちでねむってしまいました。》という長閑な書き出しから、一転して幼稚園児を捕まえて食べようとする展開になる。大人の目で読んでも切り替えが鮮やかであると思う。
 蛇足であった。長々と書いてしまったが、蛇神に免じて勘弁してもらいたい。

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posted by 為栗 裕雅 at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 大垣共立銀 岐阜県海津市+2町完全制覇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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