2017年05月17日

2014.07.18(金)(43)夏の小川もさらさら行くよ

 川べりを通って斜めにショートカットする道があるようだ。私は国道をそれて、その裏道に入った。
 小さな水門があった。道に沿って流れる小川があって、南から北に流れているようだ。護岸工事がなされておらず、土だけでできた川岸である【注1】。川をのぞき込むと、メダカだろうか、小魚が泳いでいた。ザリガニらしきハサミも見えている。よく見ると、水面で何かがピンピンと弾けている。水が浅くて底まではっきり見えるのだけれども、あぶくが出ているということは、泥の中で何かが呼吸しているのだろう。季節は夏の真っ盛りだが、童謡の『春の小川』に出てくるような、ある種の懐かしさを感じた。
 川の中に置かれた土管や、立てられた杭には、桑の実のような形をした粒の細かい塊がたくさん付いている。ピンク色、それもショッキングピンクというのか、少々どぎつい感じのする色であった。これはタニシの卵ではなかったか。そういう目で見てみると、水の中にもタニシが多数いるようであった。大量に産卵したものの、川の水位が下がって地上に取り残されたのか【注2】。私はこういうのは全く分からない。
 南に進んでくると、自然な感じの小川は終わり、コンクリートで覆われた人工水路に変わった。流れの様子も、水が白く濁ってドブのような感じになっている。月並みな感想だが、小さな川は泥のままにしておいた方が良い。コンクリで固めてしまうと味もそっけもないし、たちまち汚らしくなってしまう。もちろん、ここは農業用水路であって見世物ではないのだから、農家の仕事としてはやむを得ないけれども。
 大きな水音がした。濁った水の中に、何やら巨大な生き物がいるようだ。手近に落ちていた細い角棒を取って水中をかき回してみると、オタマジャクシがワラワラと泳いでいたから、あれは体長30cmぐらいのカエルだろうと思う。コンクリの護岸であっても、こういう具合に自然の生き物がいないわけではないが、やはり風情は明らかに泥のままの方があると思う。
 私はふと、長崎県の諫早湾問題を思い出した【注3】。幅1mもないような農業用水路でさえ、コンクリ護岸の部分では水質が変わって見えることからすると、諫早湾は因果関係が明らかなように思える。長崎の人は怒ってしまうかも知れないが、生活を築いてしまった人に何らかの補償をした上で、門を開けた方が良くはないだろうか。それもできないとすると、この問題は、締め切り堤防がある日突然崩壊するとか、謎のミサイル攻撃を受けて破壊されるとかいった、超法規的な“魔法”ぐらいしか解決方法がないと思われる。

 民家の裏口が並ぶ小川沿いの道を進んでいくと、コンビニの建物の真裏をすり抜けた。大桑国道に面したところが駐車場で、今進んでいる裏通りに近いところに店が建っている。このコンビニは、本来曲がる予定にしていた船附南交差点の角にあるサークルK(養老船附店)であった。そして、対面2車線で黄色センターラインの道路に突き当たった。県道213号養老平田線である。ここで右に曲がる。ショートカットで短縮できた距離はせいぜい30〜40m程度だと思うが、“夏の小川”など見ながら来たおかげで、楽しく過ごすことができたと思う。
 曲がってすぐある畑に、興味をそそられた。この畑は土地の全部で耕作せず、畝になっている部分の周囲を掘り下げてある。掘って低くなった部分は一部水たまりになっている。これは、昔の「堀田」の技法で造られているのではないだろうか。堀田というのは、前述したとおり、土地改良事業が進む以前に輪中地域の低地で行われていた農地の使い方である。ここの畑はそのやり方を応用して、畑の周りを掘り下げることで乾いた畝にしていると思われた。こういうことは、輪中地域で技術に馴染んでいないとできないのではないだろうか。

 西に向かって自転車を漕ぎ続ける。県道には《ようこそ養老へ》という温泉地の入口のようなアーチが付いている。養老町は古くから養老の滝を中心とした観光地だったから、温泉と似たアーチが町の入口にあっても不思議ではない。そして、アーチをくぐったところで、前方に大垣共立銀行の緑色の看板が見えた。このこと自体は、予想どおりで何の不思議もなかった。さっきミニストップで見た昭文社の地図では、田んぼの真ん中にいきなり銀行のマークが書いてあり、銀行の名前が「大垣」とあった【注4】。[珍品センター]は、駐車場か敷地内に独立小屋が出ているタイプなのだろう。そう思っていたからだ。
 しかし、である。その手前にあるのは一体何なのだ。

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 【注1】その後護岸工事が行われた。
 【注2】私が見たのは、外来種のジャンボタニシ(スクリミンゴガイ)の卵であったようだ。この貝は卵を水から上がったところに産みつける習性がある。タニシは作物の苗を食害する生物であり、卵は水中に落とすと孵化できず駆除効果があるという。
 【注3】1989年から行われた国営諫早湾干拓事業で、諫早湾奥に潮受け堤防が建設されたが、深刻な漁業被害が発生しているとして、開門を求める裁判が行われた。2008年に佐賀地方裁判所は水門を5年間開放することを命じ、2010年に福岡高等裁判所が佐賀地裁の一審判決を支持。当時の菅直人首相が上告を見送ったため、2014年7月から漁業者1人あたり日額1万円(のち2万円)が支払われている。一方、2011年には開門の差し止めを求める訴訟が長崎地方裁判所に起こされ、2013年に水門開放請求を棄却、2015年の福岡高裁もこれを支持した。開門した場合、営農側に制裁金の支払いが開始されることになっている。
 【注4】この先にある大垣信用金庫の笠郷支店と勘違いしていたようだ。地図の[珍品センター]の場所に銀行のマークは見当たらないのと、大垣共立銀行であれば銀行名が「大垣共立」になっているハズ。
posted by 為栗 裕雅 at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 大垣共立銀 岐阜県海津市+2町完全制覇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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