泉北高速鉄道の沿線は深井支店をもって全店制覇したが、せっかく来たからには街の雰囲気も多少見ておきたい。こういう時、私はまずバスを探す。深井駅前からは堺市東区の中心である北野田と、堺市の中心である堺東(堺市堺区)へ抜けるバスがあって、北野田に抜ければそのまま高野線にアプローチできそうだった。しかし、既に夕方4時近い。日没が目の前に迫っていることを考えると、時間がかかるバスよりは電車で行った方が確実である。かくして、町の様子を見ることは断念して電車に乗ることにした。
複雑な形状の通路を再び通ってホームに上がる。15:57発の準急難波行きは、深井を出ると高架から下りて地下に潜り、トンネルの中をしばらく走って再び地上に出た。そこが中百舌鳥で、16:07発の河内長野行き各駅停車に乗り換えである。中百舌鳥から目的地の千代田は駅の数でいうと9つも先なのだが、この時間のダイヤでは各駅停車で行くのが最も早い。
左の車窓に複雑な形状をした塔が見え始めると北野田である。見えるのは富田林市にあるPL(パーフェクトリバティー)教団の「大平和祈念塔」。一種の宗教施設ということになるが、たとえそうであってもこの地のランドマークとして十二分に機能しているのではないか。北野田は戦前から続く高級住宅地「大美野田園都市」の最寄り駅で、近年の再開発により高層マンションが林立している。但し、りそなはどういうわけかこの近辺に営業店もATMも置いていない。
その先にある金剛(大阪狭山市)は、特急も停まる大きな駅で、橋上駅舎を西側に出るとバスターミナルと大規模団地が広がっている。金剛駅に着くと左側車窓から茶色い高層マンションが見えるが、この1階にりそな銀行金剛支店が入っている。金剛支店は過去の時点で写真撮影を済ませてしまっているので今回は立ち寄らないが、それではあまりなのでそのときに撮影した写真を掲載しておこう。やや蛇足めくが、ウオッチャーを長いことやっていると、過去のいきさつやしがらみからどうしても逃れられず、新たな気持ちで「最初から」めぐを行うのがなかなか難しい。その意味で私は、2008年夏に実施された近畿大阪銀行のシステム統合に相当期待していた。近畿大阪の店にはほとんど行ったことがなかったからである。期待は裏切られなかったのでよかったと思う。
閑話休題、金剛支店は2004年4月に現在の駅前の店舗に移転したのだが、それより前は駅南側の踏切際に店舗があった。旧店舗跡地は「インプラントセンター」というものになっていた。インプラント(人工歯根治療)というのは、何らかの理由で歯を部分的に失ったとき、元あった場所に金属の土台を埋め込み、その上に人工的な歯を固定させる歯科医療だそうである。
金剛を過ぎると畑と古い家が増え、車窓の風景が一気にひなびてきた気がする。やはり金剛駅を境に乗降客が減るのであろう。しかし、千代田に近づく頃から再び宅地開発が進んできた。


