2009年09月10日

2008.09.10(水)(10)エピローグ 9月の海に私はやって来た

 出張所の横に「西鎌倉入口」というバスの停留所がある。会社は京浜急行バスで、西鎌倉の住宅地を抜けてJR横須賀線の鎌倉駅まで行くようだ。この鎌倉行きは、1日2本しかない。16:14が始発、その次の17:14が最終である。時計を見ると、あと20分ぐらい待てば16:14発のバスが来る。一方、今歩いてきた県道沿いには「赤羽」というバス停があって、ここからは藤沢駅と大船駅へ行くバスが出ている。こちらは結構本数が多いようだが、これらの駅へ出ても面白くない。20分待って鎌倉行きに乗ろうか。鎌倉駅まで出れば、金沢八景(横浜市金沢区)行きのバスが出ているから、もう1店金沢文庫出張所(同)ぐらいは制覇の上積みができそうである。こんなことをやっていたら日が暮れてしまう気もするが、とりあえず金沢八景まで足を伸ばそう。
 と思ったのだが、19時に都内で用事があるのをすっかり忘れていた。というわけで、今日の「チョコッとめぐ」はこれにて打ち止めにする。モノレール西鎌倉駅へ、今来た道を再び歩いて戻ることにした。

 駅に向かって県道をとぼとぼと歩いていると、車道を銀色の車が1台追い抜いていった。車種はBMWだったかベンツだったか記憶にないが、左ハンドルで、助手席には中年の女性が乗っており、運転していたのは白髪バーコード頭の老人男性であった。そして、車はなんと、オープンカーだったのである。屋根のない車など、日常生活用ではなくて完全にレジャー用であろう。あるいは、日常生活で使っているほどのクルマ道楽なのか。
 どちらにしても、この界隈が富裕層の非常に多く住む地域であると改めて感じた。と同時に、湘南という土地の日常離れした優雅さも。私はこの年齢に至るまで独身で通しているが、結婚を拒否しているわけではなく、同性愛でもなければ機能障害があるわけでもない(但し「女嫌い」であるのは間違いない)。過去それなりのことが全くなかったわけではないし、晩夏から初秋にかけての甘酸っぱくほろ苦い思いに対して、共感も憧れも持ち合わせている。あの爺さんは、白髪頭かつバーコードという、普通なら絶望してしまいそうな年齢と容姿になりながらも、オープンカーで青春を謳歌しているのだ! 爺さんに可能なら、私もまだまだ諦めるのは早いハズだが、そうしたものはどうしても「遠い目つき」で見るようにとらえてしまう。
 不意に、私が10代の頃にラジオで聞いた歌を思い出した。誰の何という歌かはわからないが、「セプテンバーストーリー 9月の海に あなたは来ない」という歌詞である。折しも今日は9月の初旬。まさにこの歌の季節ではないか。ちょっとだけ、片瀬の海岸と江ノ島が見たくなった。

 湘南モノレールは、駅に電車が入るとき、一瞬微妙な振動を感じてから車体がやってくる。ちょうど、地震の初期微動と本震のようだ。この時間からであるが、大船行きではなくて、江ノ島へ行く電車に乗った。モノレールの終点である湘南江の島駅は、西鎌倉から3つ目である。
 車窓からは引き続き高級住宅地が見えている。西鎌倉の次の片瀬山は、三井住友銀行が有人出張所(旧住友銀)を出しているところであるが、界隈を走る車は国産車ばかりであった。ごく例外的にBMWを見るくらいで、一般的な高級住宅地のように外車ばかりという印象は全くない。もっとも、私のかつての知人によると、金持ちでも外車を乗り回しているのは半分くらいで、あとは品質やアフターサービスの面から国産車に乗っている人が多いという。この人は、超富裕層の御用達である玉川高島屋(東京都世田谷区)の駐車場でアルバイトしていたそうだ。
 やがて、モノレール湘南江の島駅に到着。ホームは4階にあり、3階の改札からエスカレーターで1階に降りる。江ノ島方向に歩いていくと、江ノ電の踏切を越えた先は、観光客目当ての土産物屋や射的屋などがズラッと並んだ商店街になっている。若い女性を念頭に置くらしい小じゃれた料理店なども目につくが、敷地に松の木が生い茂った純和風の旅館があるのが印象的だった。7〜8月にはリゾート客でごった返すこの商店街も、今はシーズンオフとあって開いている店もまばらで、たまに営業している店もヒマを持て余しているようであった。
 商店街が途切れたところで、パッと陽がさした。強い西日であった。信号の向こうには、青い空と江ノ島が見えている。江ノ島に通じる地下道に人の気配はほとんど感じられなかった。
 境川にかかる弁天橋を渡る。川にはボートが多数係留されている。その先に、竜宮城のような形をした小田急片瀬江ノ島駅がある。砂浜は見ていないが、9月のリゾート地の雰囲気にひたっただけでもう「お腹いっぱい」であった。小田急線で帰ると、藤沢から先は単純往復になってしまうが、今日はもういいことにした。

[りそめぐ2008初秋 湘南セプテンバーストーリー 完]
posted by 為栗 裕雅 at 08:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | りそめぐ2008初秋 湘南セプテンバーストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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