2009年09月09日

2008.09.10(水)(9)西鎌倉と不動貯金銀行

 大船支店西鎌倉出張所は、1975年12月に協和銀行大船支店西鎌倉出張所として開設された。
 この地に協和が出張所を出した理由については、確証はないものの私なりの推測がある。協和銀行の前身の一つである旧不動貯金銀行の出身者が、創始者・牧野元次郎を意識して作ったのではないか。
 以前にりそな姫路駅前支店の建物について書いたことがあるが【注1】、そのとき、協和および不動の歴史を調べる過程で、牧野元次郎の別邸が鎌倉山(鎌倉市)にあったことを知った。この別邸の建築にあたっては、不動貯金銀行の専属建築士だった関根要太郎が姫路支店を設計するに先立ち、耐震機能の試行がなされている。牧野鎌倉山別邸は現在では解体されているそうだが、その跡地の写真を他所のブログで見たことがある。
 旧協和銀行の拠点のうち、少なくとも3か所、ここと木更津支店【注2】、それから茗荷谷支店【注3】は、設置の際に旧不動貯金銀行の関係者がかなり絡んでいるのではないかと思う。ここ西鎌倉は、牧野別邸のあった鎌倉山住宅地の入口にあたり、現地までは1kmと離れていない。JR久留里線の起点である木更津は、牧野の出身地・久留里(千葉県君津市)の玄関口。そして茗荷谷支店のある地下鉄茗荷谷駅は、牧野の墓がある善仁寺(東京都文京区小日向)の最寄り駅で、寺の近所の住宅地には[小日向]という店舗外ATMまであったのである。
 もちろん、これら3つの拠点は、牧野に「ちなんで」作ったわけではないだろう。ただ、それぞれ不動の関係者が訪れる機会が多く、ある程度土地鑑があって営業活動がしやすかったため出店したのではないか。これらの店が新設された昭和40〜50年の時期、銀行の店舗展開は大蔵省により厳しく規制されていて、新店舗の開設は配置転換方式でなければできなかった。つまり、新店舗と同じ数だけ廃止店舗があったわけだ。これらの廃店は地方都市に多かったから、必然的にそのほとんどが旧不動貯金銀行の店舗となる(貯蓄銀行は営業区域の狭い小規模な銀行が多く、積極的に全国展開していたのは不動だけであった)。またこの時期は、会社の中で、協和銀行発足以前に入社した最後の世代が決定権を握り始めた時期と思われる。つまり、新銀行発足後の入社であれば薄いであろう「旧行意識」が業務に影響した、最後の時代ということになる。以上のようなわけで、出店場所の選定にあたっては旧不動関係者の意向がかなり採り入れられたと想像される。
 平成の時代に入り、木更津支店は地域の沈滞とともに持ちこたえられなくなったものの、西鎌倉出張所と茗荷谷支店は現在もりそな銀行の店舗として営業を続けている。西鎌倉に関しては、高級住宅地、それも近所に他の民間金融機関がない地域とあって、2000年頃の苛烈な支店統廃合の嵐を乗り越えて存続しているのであろう。
 以上は、データ部分を除き私の推測である。

 【注1】当ブログ連載「りそめぐ2007晩秋 関西デハナク近畿」中「2007.11.26(月)(14)やはり『本当に古かった!』」を参照。
 【注2】協和銀行木更津支店:1969.10.27千葉県木更津市富士見1-8-11に開設、1976.06.07富士見1-5-20に移転。1991.04.01協和埼玉銀行木更津支店、1992.09.21あさひ銀行木更津支店。1998.09.07さくら銀行木更津支店に営業譲渡され廃止。
 【注3】協和銀行茗荷谷支店:現りそな銀行茗荷谷支店。1972.03.06東京都文京区小石川5-5-5に開設。1987.07.13店舗外ATM[小日向]を文京区小日向2-9-24に開設。1991.04.01協和埼玉銀行茗荷谷支店、1992.09.21あさひ銀行茗荷谷支店。2001.11.16小日向出張所を廃止。2003.03.01りそな銀行茗荷谷支店となる。
posted by 為栗 裕雅 at 08:00| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | りそめぐ2008初秋 湘南セプテンバーストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
為栗さま、お久しぶりです。今回のレポート、興味深く拝見させていただきました。
私は数年前になりますが、不動貯金銀行の本店で勤務されていた方からお話を伺う機会に恵まれまして、当時の話を幾つか伺ったことがあります。例の大黒信仰は別にして、アットホームな雰囲気の会社だったという話がとても印象に残っています。

これは少し余計な話になってしまいますが、不動銀行のもう一つのゆかりの土地といえば、港区六本木三丁目の旧牧野元次郎邸跡があります。
ここには牧野の本邸のほか、2代目・頭取の寺本五郎邸もあったそうです。空襲で二つの邸宅とも焼けて、今はその面影はありませんが、跡地の西側の坂を下ると不動院というお寺があったり(寺の歴史の方が銀行よりも古いようですが・・・・)、家を選ぶにあたり、この場所をわざわざ選んだのではとも想像してしまいました。
・・・・脱線話になってしまい、申し訳ありませんでした。これからの〔りそめぐ〕シリーズ、楽しみにしております。
Posted by 東京都下・まちだ at 2009年09月10日 23:30
 こんにちは。コメントありがとうございます。
 コメントにある「不動院」を地図検索してみました。そこから割に近いところに店舗外ATMがあって(あさひ銀行時代に廃止)、行ったことがあるのを思い出しました。芋洗坂からテレビ朝日のほうに向かう途中です。まあこれは不動と関係はないと思います。六本木に協和銀行の支店もなかったですし。
 不動についてはまだわからないことも多いですので、何かありましたらご教示下さい(不動という銀行は、あれだけ多数の印刷物を出していながら、社史を出していないのが惜しまれます)。今後ともよろしくお願いします。
Posted by してぐり(管理人) at 2009年09月11日 11:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/127552524
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
カテゴリ一覧(過去の連載など)
大垣共立銀 岐阜県海津市+2町完全制覇(58)
単発(12)
告知板(24)
銀行めぐ2015冬 みちのく銀秋田県全店制覇(29)
りそめぐ2013梅雨 大阪市営バス“最長”路線[93]を行く(43)
りそめぐ2011晩秋 都営バス最長路線[梅70]の旅(57)
りそめぐ2008秋 「埼玉県民の日」に埼玉県内をめぐる 東武伊勢崎線・野田線沿線17店舗の制覇(51)
りそめぐ2009初秋 りそな銀千葉県内12店舗完全制覇(35)
りそめぐ2008夏 りそな銀東京都世田谷区4店舗完全制覇(8)
りそめぐ2008春 埼玉高速鉄道で帰省してみた(18)
りそめぐ2008秋 太平洋は青かった 茨城→北海道750km大移動/銀行めぐ2008秋 札幌市内4行4店舗完全制覇(20)
りそめぐ2008初秋 湘南セプテンバーストーリー(11)
りそめぐ2008冬 銀河に乗って知事選たけなわの大阪府へ(47)
りそめぐ2008夏 「近畿大阪めぐ」スタート記念 片町線・京阪線沿線25店完全制覇(51)
りそめぐ2007晩秋 関西デハナク近畿(60)
りそめぐ2008冬 人命の重さと意味を考える(12)
りそめぐ2007秋 「埼玉県民の日」に埼玉県内をめぐる(35)
2007年7月 りそな関西地区支店昇格5店完全制覇+α(43)
あさめぐ・最後の爆走 西日本地区15店+1店完全制覇(34)
2006年1月 りそめぐ「旧奈良銀店舗全店制覇」(53)
第四銀行めぐ 2005年(41)