2017年04月06日

2014.07.18(金)(2)桑名から養老鉄道に乗る

 06:38、私の乗った関西本線の電車は、定刻どおり桑名駅1番線に到着した。
 「その手は桑名の焼きハマグリ」の文言で有名な桑名市は、城下町であり宿場町でもあって、東海道唯一の海上路「七里の渡し」の発着拠点であった。現在でも、関西線と近鉄のほか、内陸部に入っていく鉄道路線が2本も出ている鉄道交通の要衝である。大垣共立銀行は1926(大正15)年から桑名に支店を出している【注1】。やや蛇足めくが、りそなウオッチャーの立場からは、協和銀行も前身の不動貯金銀行時代から桑名支店を出店していたことに触れておきたい(1920年開設、1957年廃店)。
 桑名駅舎は駅ビルになっているが、エスカレーターを上がって跨線橋に出ると、骨組などから古い時代の橋を使っていると感じられた。養老鉄道へは改札を出ずそのまま跨線橋を渡っての乗り換えとなり、ホームは近鉄名古屋線の下り線(伊勢・大阪方面)の反対側、4番ホームである。
 跨線橋には、イオン銀行のATMが置いてある。東海地区や近畿地区では、イオン銀のATMを(イオン系の店内でない場所に)単独で置いてあるケースが結構目につく。首都圏ではまず見ないが、その代わりセブン銀行が同じような置き方をしているから、これは地域性と言えるものだろう。跨線橋の壁には「7月22日、三重銀行大山田支店オープン」の広告ポスターが貼ってあった。
 イオン銀の隣が、ファミリーマートである。近鉄の駅売店はもともとエーエムピーエムだったが、現在では全てファミマになっていて、「近鉄駅ファミ」というロゴが付いている。すぐ隣にイオン銀ATMがあるから、店内にATMはない。さて、このファミマで、乾電池を1包み(2本)買った。名古屋から来る電車の中で思い出したのだが、乾電池の予備がない。上着のポケットに入れているつもりだったが、点検してみると1本もなかったのだ。これは、3月末に電子機器類を上着ごと盗まれた影響である。くそったれあの泥棒め。高くつくから乾電池などコンビニでは買いたくないのに。さて、この店にはレジが2台あって、手前のレジの前に立ったら「すいません、1列にお並び下さい」と手前のレジにいた店員のお姉ちゃんに叱られてしまった。奥のレジの列に並び直したが、結局自分の番が来ると担当はこのお姉ちゃんであった。

 養老線は06:44発で、発車まであと1分ぐらいしかない。まだ切符を買っていないので、少し焦り気味にホームに下りる。近鉄の伊勢志摩方面行きが出る6番ホームは、柵で細長く仕切られており、中間に改札口が設けられている。柵の向こうが養老線の発着する4番ホームであった(5番ホームは欠番)。改札の横には、ソバ屋によくある食券の自動販売機をそのまま使った乗車券の券売機が置いてある。大急ぎで美濃松山までの切符を買った。券の体裁はJRの乗車券と似た書式になっているが、紙質がペラペラだし、フォントが明朝体であるなど、やはり切符というよりソバ屋の食券であった。
 駅員に改札印を押してもらい、大急ぎで電車に乗り込んだ。オレンジ色に塗られた2両編成で、窓の下に白い帯が1本入っている。養老鉄道は昔の近鉄と同じ真っ赤な電車が標準であるが、この2両は昭和30年代の近鉄南大阪線の塗色を復元したということであった。ドアには「第三銀行カードローン」の文字だけのシール広告が貼ってある。さっき三重銀行の新規出店の話を書いたけれども、金融業界は過当競争気味でなかなか大変である。やはりと言うべきか、2017年2月、三重銀は第三銀行との経営統合を発表した。
 電子音の発車ベルと、ドア上のプルルルという警報音は、近鉄に乗っているのとほとんど変わらない感じがする。それも道理で、養老鉄道は2007年まで近鉄の養老線であった。赤字路線ということで近鉄から切り離されてしまったけれども、養老鉄道は近畿日本鉄道の100%子会社であり、線路や鉄道施設なども近鉄が所有しているので【注2】、本質的には会社の名前が変わって運賃が上がったぐらいの差しかない。細かく見れば、ホームに柵を張り巡らせ、連絡改札を通らなければ養老線に乗れなくなったことと、駅名板に引かれたラインが緑色になったという違いはあるけれども。
 乗り込んでほどなく発車。車内はガラガラで、前の車両に5人ぐらいしか乗っていない。後ろがどうだったか覚えていないが、たぶん客はほとんどいなかったのではないか。車内は暑かった。冷房がいちおう付いてはいるが、全然効いていない。

 養老線はさっきの関西本線とは異なり名古屋に直結する路線ではないから、沿線は建物の新陳代謝がほとんど見られなくなり、古い建物ばかりになった。最初の駅、播磨に停車。駅前に農協の店が見えたり、町工場よりは大きな工場が密集していたりする。工場の集まりは昭和40年代ぐらいの開発だろうか。NTNという会社の看板の水色が目立つ。NTNは桑名市発祥のベアリング製造大手で、かつては東洋ベアリング製造といった。
 播磨を出たあたりから、線路のすぐそばまで山が迫るようになった。養老山地に近いからか、左の車窓には小高い山が線状に並ぶ。山の手前には水田が1面2面とあり、民家が数軒固まって建っている。起伏のある土地なので、標高の高いところは樹木を植えて果樹園のようにしている。右を見ていると、低地が広く取れるところは見渡すかぎりの水田になっている感じがする。それも(二期作は無理だろうが)二毛作ぐらいはやっているかも知れない。休閑地のように見える土地は、前年に耕作して今年は休んでいるのか、すでに今年の刈り取りが終わっているのか区別がつかないが、いずれにしても何年も放ったらかされた休閑地とは違うと思われた。
 2つ目の下深谷駅は、昔ながらの味わいのある平屋建ての駅舎で、このあたりから早くもローカル私鉄らしい雰囲気が濃厚になってきた。左の高台上に学校(三重県立桑名北高)が見える。養老鉄道のホームページに公表されている各駅ごとの乗降人員表によると、下深谷は乗降客が多い部類の駅【注3】。この駅で反対方向の電車とすれ違う。交換した桑名行きは3両編成で、昔の近鉄と同様の赤い電車。車内はほぼ満席だった。まだ7時にもなっていないが、朝が早い人は早いものである。
 結構大きな農家があったり、古い神社があったりする。左の車窓から見える竹薮は、葉が真っ黄色になっていたり、倒れかかった竹があったりと、少し荒れているようだ。人の手が入っていないのだろう。とにかく左側は電車のすぐそばまで竹薮とツル草ばかりである。この時期の雑草は成長力が特に旺盛なようで、伸びた草が窓にカサカサ当たったりしている。
 3つ目の下野代駅は、ホームは片側のみ。左の車窓だけ見ていると山奥に入ってきた感じがした。山奥といっても、山自体の標高はさほど高くはない。そして、駅の北側で地形が少し開けた。土地利用としては水田と畑が半分ずつぐらいだろうか。水門があって、鉄橋を渡る。地形が開けたところと、山がすぐそばまで迫ってきているところが交互に繰り返される。それも、山脈のある左側からだけでなく、部分的には右側からも山が迫ってくるように見えるところがある。平野部にしては地形の起伏が激しいが、激しいというより、起伏が「豊かにある」という感じがした。
 4つ目の多度駅に到着。国鉄型配線の大きな駅である。旧桑名郡多度町の中心地で、「平成の大合併」により桑名市となった。多度大社という大きな神社があって、この神社の神事は競馬の愛好家には有名らしい。大垣共立銀行はこの地に多度支店を出していて、この駅で降りると支店のほか[桑名市役所多度支所]【注4】、[ピアゴ多度店]の2つの店舗外ATMが取れる(今日は行かない)。
 この駅で乗客が少し乗ってきた。乗って来る客を見たのは、養老線の途中駅では今朝初めてであった。

02-1.jpg

 【注1】正確には、1926年に買収した共営銀行(大垣市)が1916(大正5)年から出店していたもの。
 【注2】2017年中をメドに、近畿日本鉄道が保有する養老線の鉄道施設を、地元出資の一般社団法人「養老線管理機構」に譲渡し、公有民営方式で運営されることになっている。
 【注3】「養老線交通調査結果」(2012.11.13)によると、乗降人員1位は大垣駅(7789人)。以下、桑名(3958)揖斐(1615)多度(1115)下深谷(994)と続く。最少は美濃山崎(162)。http://cug.ginet.or.jp/yororailway/data/kouthuu.pdf
 【注4】施設名は「桑名市多度町総合庁舎」が正しい。
posted by 為栗 裕雅 at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 大垣共立銀 岐阜県海津市+2町完全制覇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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