2017年05月18日

2014.07.18(金)(44)「珍品センター」という名の珍品

 アーチの手前から、大共の緑の縦型看板と「ようこそ珍品城へ」という黄色い看板が見えている。それとは別に、漢字一文字で「珍」と書いた巨大な黄色い看板が目立っている。
 近づいてみると、前方右側には、城のような建物がある。といっても、結婚式場やラブホテルその他、地方の街道沿いに似つかわしい洋風の城ではない。妙に大きなしゃちほこが載った、瓦屋根の“天守閣”である。その手前にある城壁のような建物は波板ぶきの平屋建てで、パトカーのような白黒塗り。白壁となまこ壁に似せてある。軒先には大八車の車輪のようなものがいくつもぶら下がっており、「ブラザー電気洗濯機」なる琺瑯の看板もあった。
 お城の手前側は駐車場になっており、その隅に建つ棟のテント屋根は、茶色とピンクのしま模様という派手な色遣いであった。その内外に、七福神や二宮金次郎など種々の石像が並べられている。信楽焼の狸もある。これだけなら単なる石材店のようだが、駐車場の西側、道路と小さな川を挟んで“珍品城”の本体がある。城壁のような基本平屋建ての細長い建物と、天守閣のような3階建てのビルが建っているが、両者はつながっているようだ。前述のとおり、平屋建ての屋根には「ようこそ珍品城へ」という黄色い大きな看板が取り付けられている。
 門構えのような形の正面入口には飲料の自動販売機がズラリと並び、電話ボックスと郵便ポストもある。観光バス歓迎と書いてあるから、ドライブインのような役割を狙っているのだろうか。飲料自販機の上に取り付けられた赤いテントには《なつかしかしさと驚き》と、雑誌のおもしろコーナーで紹介されそうなキャッチコピーが書いてある。わざと取り上げられようとしているのかも知れないけれど。そして、屋根にしゃちほこが載った3階建ての“天守閣”が、敷地の一番西の端に建っている。
 天守閣の手前にある平屋建て部分には、唐笠・熊手・蓑・布団たたきなど、籐だか竹だかを編んだものが並べて置いてある。茶碗や壺など食器類もあるが、場所柄美濃焼が多いのだろうか。これらには値札が付いており、表示価格の半額で販売している。正面入口の横にある郵便ポストは、古いスタイルの丸ポストだが、実際に郵便ポストとして機能していて、取集担当は大垣郵便局であった。

 建物に入ってみて、ようやく「珍品センター」の正体がわかった。ここは、娯楽性を強く打ち出した骨董品店なのである。正式名称を「古今珍品情報流通センター」といい、委託された骨董品を店に並べて売っている。単に販売するだけでなく、この店そのものが観光資源になっているようだ。
 扱っているのは、具体的には掛け軸・書画・茶道具・古陶器・置き物・民芸品・古美術・刀剣・鎧といったレトロ商品。美術とか芸術方面に重きを置いているようだが、軍服もブリキのおもちゃもある。いろいろな“珍品”が、広い平屋の棟はもとより天守閣に至るまで、ギッシリと詰まっている。
 建物入ってすぐ右側に「商品の出品の仕方」という大きな看板が出ている。売りたい品物があれば、出品者が100円単位で自由に値段をつけて珍品センターに預け、売れた場合は販売手数料を引かれて売上金を渡される。3か月で売れなかった場合は返却される。誰でも出品できるが、年会費1万円で会員になれば手数料(最大30%)は優遇されるという。なるほど、こういうやり方で商品を集めているのか。なお、出品商品は「何でもよい」とは書いてあるけれども、店員によれば一定の制限があり、たとえば剥製など明らかに売れないものは断っているという。それから、中国からの客がやはり多いようだが、中国関係の品物はほとんどないので、あるなら持ち込み大歓迎ということであった。
 こういう店に来ると、男の私はつい興奮してあれこれ見て回りたくなる。たいていの人には汚いガラクタを集めて売っている店にしか見えないと思うが、私にとって珍品城は「夢の城」であった。りそなグループのウオッチャーとして、大黒天の置物で手頃なものがあれば買ってみてもよいと思った。大黒天は、りそなの前身銀行の歴史に登場するアイテムである【注】。大きさの点で手頃だと思うものは1、2点あったが、値段の点で見送った。
 電話機など実用的なものもあった。私はこの頃、自宅の電話機を1台買わなければならなかった。メリーゴーランドのようなちょっと派手な外観のプッシュホン電話があって、買って帰ろうかと一瞬思った。足が3本出た電気プラグのような「ローゼット」が付いているが、モジュラージャックに変換するアダプターを付ければ使えるハズだ。1800円とあまり高くはなかったが、金メッキが剥げていたり、きれいでなかったので断念した。
 もちろん、それ以前に「今日は」何か買って帰るのはとても無理である。

 近所のおばちゃんといった感じの店員が、麦茶を振る舞ってくれた。何しろ暑い日である。一杯の麦茶が喉にしみた。
 店員はこういうことを言っていた。美術館の展示に値札は付いていないが、ここの展示は全部値段が付いている、値札の金額さえ出せば買えるんだから明朗だ、と。しかし、骨董品というのは、根本的に生活にどうしても必要なものというわけではない。ここは美術品とか置物のウェイトがかなり高いのだが、絵画や彫刻は、日本の住宅事情を考えたらあまり売れないだろうなと思う。気さくに話しかけてくれた名古屋弁(美濃弁か)のおばちゃんは、欲しいものがあったら即声かけてね、どこからでも飛んで来るから、と言ってくれたが、今日は荷物になるものは無理だし、電話機にしても「何としても絶対に必要」というものでもなかった。
 見て回る分には楽しいけれども、この店の展示は“展示”そのものが目的ではなくて、売っているのである。買いもしないのに見るだけ見て回り、麦茶までご馳走になったのに手ぶらで帰るのは申し訳ないが、今日は先がまだ長いからやむを得ない。ご容赦いただくことにした。

44-1.jpg

 【注】旧あさひ銀行の前身、旧協和銀行と旧埼玉銀行の双方に大黒天を使用した歴史がある。協和銀行の前身である不動貯金銀行は、創業者の牧野元次郎が大黒天を行内の「ニコニコ主義」のシンボルとして使用し、各支店には大黒天の奉安所が設置されていた。一方、埼玉銀行では戦後に頭取に就任した平沼弥太郎が趣味として彫刻をたしなんでおり、自身で作った大黒天像を全営業店に寄贈していたという。
posted by 為栗 裕雅 at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 大垣共立銀 岐阜県海津市+2町完全制覇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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